──ガチャッ!


とても落ち着いてはいられずに、リビングのドアを勢いよく開けた。


「あら、歌鈴。おかえりなさい」

「……ママ!? それに、パパも」


いつの間に帰国したのか、ふたりはダイニングの椅子に腰掛けていた。

一体どういうことなのか、パニック状態の若さんと顔を見合わせる。


「歌鈴ー。あー、会いたかったわぁ! 花嫁修業は順調かしらねえ?」


フランスへ旅立つ前となにひとつ変わらないママは、私の肩に手を添えて笑顔を見せる。

その姿に胸を撫で下ろした。

久しぶりにママに会うとホッとする。

お母さんって、偉大な存在だな……。