「お嬢様ぁぁぁぁぁ!!」

「ひぇっ、若さん……どうしたんですか! 」


すごい慌てよう……。

あの若さんがいよいよ教室と廊下の境界線を越えたのだ。

それほど重大なことなんだって、すぐに察した。


「大変です! 旦那様が!」


「パパが……? どうかしたんですか!?」


ドクンッと心臓が跳ねる。


「と、とにかくお急ぎください!」


血相を変えた若さんに不安が募った。

パパになにかあったの……!?

私は大急ぎでカバンを掴むと、転がるように教室を飛び出した。