「最初からそうすることが目的で行かせたくせに。だいたい手芸部の部室の鍵、あんたが管理してんだよね?」


「確かにいつもは私が管理しているわ……けど、昨日は衣装係の誰もが出入りしてたから。そもそも、いきなりなに? 濡れ衣もいいとこだわ……!」


後ずさる秋元先輩を逃がさないように、蓮くんが間髪入れずに言った。


「そん時だろ? 糸切りばさみ落としたの」

「……っ!!」


糸切りばさみって、確か……。


──“先輩、これ落としましたよね?”

──“っ、”

──“部室の前で見つけました”


蘇る昨日のふたりのやり取り。