「なっ、なんのことかわからないわね……」

「へぇ。よくそんな知らないフリできるな? 女優も顔負けだね」


一体なんの話しかわからず、私はただただその場で立ち尽くしていた。


「しらを切るつもりなら俺が思い出せてあげる。部室に鍵かけたの、あんただろ?」


蓮くんの口から吐き出された言葉に、一瞬思考が固まった。


「歌鈴が中にいるってわかってて閉じ込めたんだろ」

「っ、バカ言わないで。歌鈴ちゃんに忘れ物を取りに行ってもらったけれど、閉じ込めたなんて……っ、言いがりはよして」


焦ったように話す秋元先輩の声がうわずっていた。