「今日は、ホントにありがとう。それで、私……実は理人先輩の婚約ことで……」 思うようにスラスラと言葉が出てこない。 「なんか嫌なこと言われた?」 そんな私の手を引いて、穏やかな声で尋ねてくる。 「ううん……」 嫌な思いをしたのは蓮くんの方なのに。 「もし今後、俺のこと聞かれたらただの幼なじみって言っておきな? 歌鈴が困らないように答えればいいから」 視線を泳がせていたけれど、その言葉にピタリと止まった。