狼男の被り物をつけた若さんがどんな表情をしているのかわからないけれど。

きっと、微笑んでくれているような気がした。


「わあっ!? 二乃ちゃ……っ、」


二乃ちゃんが私に勢いよく抱きついた。


「よく言った! 偉い! やれば出来る子!」


頭を撫でてくる二乃ちゃん。


「婚約したくないなんて、あの貫禄たっぷりの推定50代男性相手によく言ったわ! 勇気を出せて偉かったね」


「ん……二乃ちゃ……ありがと……」


二乃ちゃんが手に持ったままの看板かずしずし直撃してきたけれど、嬉しくてそんなことはどうだってよかった。

帰国したパパはきっとショックで倒れるかもしれない。


──だけど、未来を決めるのは自分自身だから。