特に午前は目が回るくらい忙しかったから。


「ええ……わざわざ探しにいってもらったのに、落としていたみたいで。悪いわね」

「いえ……私こそトラブルとはいえかなり遅くなってすみませ……」

「もう見てらんないな。歌鈴、行くよ」


硬い声で遮った蓮くんが、瞬時に私の手首を掴んで引っ張った。


「わわっ……蓮くん!」

「アイツの親父、もう来てんだろ?」


あ……そうだった。

午後の部が始まってからずいぶん時間が経っている。


私は秋元先輩にペコりと頭を下げてその場を離れた。