このチャンスを逃したら、もう明日の朝まで脱出出来ないかもしれない! 私が勢いよく立ち上がったとほぼ同時、 「──やっと見つけた」 どこか焦ったその声はいつもよりも低く、私の耳に届いた。 「え……蓮、くん?」 私は目を見張った。 ヴァンパイアの衣装に身を包んだ蓮くんが肩で息をしていて……、 「マジで心臓止まるって」 言いながら、ほんの少しも待てないとばかりに、ギュッと私を強引に抱き寄せた。 「……な、なんで……?」 驚きと、嬉しいのとで、上手く言葉にならなかった。