秋元先輩も戻らない私を心配しているかもしれない。 だけどきっと、ひとり係の仕事に追われてここに来る余裕がないのかも……。 理人先輩も、お父様も、もう私を探しているかもしれない。 このまま挨拶さえ出来なかったら、パパの印象まで悪くしてしまう……。 それに、蓮くんだって……。 どうしようもない状況で、私は衣装のケープを合わせながら寒さをしのぐしかなかった。 ──カチャッ! ひとり隅っこで身体を縮め続けていたその時。 「誰……?」 突然、鍵が空いて部室のドアが開いた。