あの貫禄のある人が理人先輩のお父様? ふたりは私に気づかず校舎内へと入っていく。 呆気にとられていたけれど、今は私も急がなきゃ! 部室のドアは鍵が空いていた。 いつもは秋元先輩が鍵を管理しているけれど、今日は出入りが激しいから開放しているのかもしれない。 ええっと……糸切りばさみ。 部室に入って奥にある戸棚を探してみる。 あれ、おかしいな……。 秋元先輩はいつもここに閉まっているのを見たんだけど。 ──カチャッ ……ん? 今なにか聞こえたような気がする。