自分は籠の鳥なんかじゃないし、可哀想でもない。



「……だったら、早くお断りしてあげたら?」


ガタンッ!と椅子を引いて立ち上がった秋元先輩を目で追いかける。


「そんなまやかしの婚約、誰も幸せになんてならないじゃない! バカみたいっ」


棘のある言い方で吐き捨てると、秋元先輩は部室を出ていった。


「……っ、」


テーブルの上には、若さんと二乃ちゃんが褒めてくれたボタンのついた衣装がある。

丁寧に教えてくれたからここまで上達した。

だから、出来ることなら秋元先輩にも見てほしかったな……。