「花咲くんが諦めてくれたらいいのに」
そんな都合のいいこと起きるわけないか、と独り言のようにもらした。
「あの、なんで秋元先輩がそんなこと言うんですか……?」
「え? あ、もしかして気に障った? 第三者としての意見っていうか。籠(かご)の鳥みたいで、歌鈴ちゃんも本当に可哀想だなって思っちゃっただけなのよ」
籠の鳥……。
だから怒らないで、と付け足した秋元先輩。
私は怒ってるわけじゃない。
それに、婚約のことを切り出された時、パパにしっかり自分の気持ちを伝えて断れなかった私がいけないかもしれない。
それでも……



