それは事実だから仕方ないけど、その真意がわからずに、私はただただ秋元先輩を見つめ返すしかない。


「だって、青葉くんは御曹司じゃないから。会社の後継者とか振る舞い方とか……色々指摘されることばかりだろうしね? つまり、歌鈴ちゃんの家柄とは釣り合わないわけで……」


眉を八の字にした横顔はどこか芝居がかって見える。

それに、秋元先輩の言い様にも、胸がキュッと軋んだ。


「苦労するのも、場合によっては後ろ指をさされるのも、全部青葉くんだもんね」


あなたも青葉くんも可哀想に──と、ポツリ呟いて、ぎこちなく微笑んでみせた。