そこまで知れ渡ってるのだから、今さら否定しても仕方ない……か。


「やっぱりそうなんだね。でも、わたしはてっきり青葉くんかと思い込んでたの。歌鈴ちゃんとは幼なじみって聞いたし」

「幼なじみです。けど……その婚約相手はパパが決めていて」

「そっか。なんだか、青葉くんが可哀想ね」

「え?」


手を止めた秋元先輩が静かに視線を滑らせる。


「あ、これは私の勝手な思いだけど、歌鈴ちゃんのことをどれだけ好きでも、叶わないんだなぁって思って」


だから可哀想だなって……と、秋元先輩は声を沈ませた。