【完】花嫁修業のため、幼なじみと極甘♡同居が始まります



秋元先輩は、衣装をとても大切そうに眺めている。


分厚い沈黙が流れて、どれくらいが経ったかな。

私は他の男子生徒の衣装に刺繍を入れていた。

気持ちはどんより重くて全くはかどらない。


「歌鈴ちゃんって、婚約するのよね?」


その沈黙を破るように先に口を開いたのは、秋元先輩の方だった。


「……えと、まだ決まってはないんです。ただ、両親の中でその話は進んでいて……」

「ふふっ。噂通りだね。ちなみにその相手は、花咲くんでしょう? 女子が悲惨な顔で騒いですごかったから」

「……うっ。そんなことまで耳に入ってたなんて」