「あ、それヴァンパイアの衣装?」
「そうです。ローブはなんとか終わったんですが……」
蓮くんの背丈に合わせて調整は終えている。
「……そっか。わたしが手をつけようと思っていたけど見当たらなかったのは、歌鈴ちゃんが持ってたからなんだね」
あれもこれも秋元先輩任せにするつもりはない。
それに、これは蓮くんに頼まれた衣装でもあって……。
その気持ちの方が強い。
「家でもちょっとだけ進めようと思ったのでま、持ち帰ってたんです」
「そう……」
あ、ここ……ほつれた糸が残ってる。
指先ですくい上げようとした直後。



