「ふむ。以前より上達されましたね、お嬢様」


期末試験が終わった頃、私のボタンつけもまともになってきた。


「あ、ホントだわ。やるじゃないの歌鈴」


若さんと二乃ちゃんに褒められると照れくさいけど素直に嬉しい。

それもこれも、放課後の手芸部の部室で、秋元先輩が丁寧に教えてくれたからなんだ。


成果って言ったら大袈裟かもしれないけど、秋元先輩にも早く見せたいな。


食堂からの帰り道、若さんが後ろを歩く。

そのせいか鼻の下がこれでもかってくらいに伸びている二乃ちゃんと一緒に、軽快な足取りで教室へ戻った。