「歌鈴が俺のこと見てんなら、俺だってそうしたい」 すっと伸びた指先が、私の髪を弄ぶ。 これじゃまた、蓮くんのペース。 「蓮くん……あの……っ、理人先輩から聞いたんだけど」 意を決して今朝の話を切り出した。 「そうだよ。負ける気なんてしない。てか、負けらんないだろ」 「そんな勝負……のらなくてもいいのに」 「ダメ。プロポーズさせたくないってのは本音だけど、そもそもこれは俺のためじゃない」 「え?」 ゆっくりと蓮くんの顔を見上げれば、柔らかい笑みが返された。