* * * 衣装係になった以上、秋元先輩の足を引っ張るわけにはいかない。 その日の夜、私はボタンつけの練習を始めていた。 理人先輩から聞かされたことは、蓮くんがお風呂からあがったら聞いてみようかな……? 夕飯の時も、お互いにまだその話は切り出してないし……。 「お嬢様。一体なんですか、それは!」 若さんの甲高い声にハッと我に返る。 「わわっ! なにこれ!?」 「とても目も当てられませんねぇ……」 考えごとをしていたせいか、糸がぐちゃぐちゃだ。 ひどい失敗……。