「この本もなかなか難しそうなんだよな」 ふと、蓮くんがそばにある本を拾い上げる。 “愛される夫になるための10の法則” 「……れ、蓮、くん?」 これはなに……? どれだけ難しい本なのかと思ったら、想像と違いすぎて拍子抜け。 「これ、読んでたの……?」 尋ねてみたけれど、蓮くんは顎に手を添えてなにか考えてる。 「歌鈴」 そして、そんな私の腰にいきなり腕を回すから、再び距離が近くなった。 ドキンッ、と心臓が飛び出しそうになるくらい、蓮くんの顔がそばにある。