「あの方が理人様のお相手の方?」

「音無産業のご令嬢よ。可愛らしいわね」


うぅ……。

どうやら、メイドさん達にも婚約のことは知れ渡っているみたい。


「部屋までもうちょっとだから」


コクコク頷いてみるけど、そわそわして少しも落ち着かない。

天井画には天使が描かれていて、異次元にでも来たかのようだった。

大理石だと思われる通路はピカピカで、掃除をしているメイドさんがペコりと頭をさげた。


花咲財閥の御屋敷に踏み入ったのだと実感する。