妖しく細められた瞳に、いつもとは違う空気を感じて、嫌な予感がする。


「ちょっ、うわっ!?」


私の手を強引に引っ張って、教室の窓際へと視線をスライドさせる理人先輩。

そこにいるのはこちらを見ている蓮くんで。

べっ、と舌を見せた理人先輩は、


「逃げるよお嬢様」


そう言って、抵抗さえ出来ない私を連れて走り出した。


「なっ、歌鈴!?」

「貴様っ! お嬢様をどこへ連れていく!?」

「二乃ちゃぁぁん……!!」


驚きに包まれた若さんと二乃ちゃんの姿がだんだんと遠くなる。