考え込む私達の背後から聞こえた声に、身体がビクッと反応した。


「なんて神出鬼没な御曹司なの!? 」

「その気配の消し方は一体どこで身につけたのですか!?」


ふたりのツッコミどころがやっぱりよくわからない……。


「いつも通りだろ? そろそろ慣れてくれてもいいと思うんだよねー」

「……慣れるわけないじゃないですかっ、それに理人先輩が来たらまた──」


パシッ、と。

突然さらわれた私の右手。


「……へっ?」

「ごめん。文句ならあとでいくらでも聞いてあげるから、今は黙って」