「……はっ。これ以上は勘弁しろって。ライバル宣言すんならもっとナチュラルにしてくれって話」 降参とばかりに息を吐くように笑ったのは、理人先輩だった。 「余裕なんかないくせに、コイツに手ぇ出さないでね?」 「ちょっ、と……蓮くん!?」 私の手を掴んで、騒ぎ立てる野次馬をかき分けながら教室を出ていった。 「──綺麗な顔して、くそ生意気だね。だったら本気出しとくか」 理人先輩がそんなことをもらしていたなんて、私は当然、知る由もなかった。