「なにが言いたいわけ?」


その真意に気づいたらしい蓮くんに、理人先輩は妖しく笑ってこう言った。


「なにって、歌鈴ちゃんは将来、俺の可愛い花嫁さんになるんだよ」


え……?

突然出てきたその単語に、私は呼吸すら忘れた。


「思った通りだ。何も聞かされてないんだねー?」


待って……。

私が理人先輩の花嫁になるって?


「知らなくても当然か。まだ歌鈴ちゃんの耳には俺のことを入れないようにって話だったから」


パパとママから一度だって理人先輩の名前も、花咲財閥のことも聞いた覚えなんかない。