「先に入りなよ」 「……いいの?」 ママのノートには『主様に一番風呂を』って書かれていたんだけど。 「いいよ」 「……ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて」 「って言いたいとこだけど、ダメ。これ読み終わったら行くから待ってて?」 「うん……って。え!? 待つ……?」 「そうだけど」 「私、ひとりで入るから……っ、それともやっぱり蓮くんが先にどうぞ!」 「は?」 「だって、一緒にお風呂に入ったのは子供の頃で……っ」 手をぶんぶん振り回す私に、蓮くんは不思議そうに眉をひそめた。