「ねぇ、抱きしめてくれるの?くれないの?どっち?」
重そうな瞼を必死に上げて、わたしをきょとんと見つめるコウくん。
あぁ、わたしの負けだ。
このあざといワガママなコウくんにわたしは勝てない。
「い、一瞬だけだからねっ!」
きっと真っ暗だから赤く染ったわたしの顔は見えないはず。
布団の上からギュッとコウくんを抱きしめる。
「なっ、コウくん!離してっ!」
一瞬だけして、すぐに離れるはずだったのに。
がっしりとコウくんの腕に抱きしめられたわたしはそこから逃げられない。
わたしの力じゃ、コウくんには敵わない。
「頑張って起きるから充電させて」
そう甘えるコウくんを簡単に許してしまうのは、わたしが甘すぎるからだろうか。
それともどこかで本当は、もっとコウくんに抱きしめてほしいと思ってしまっているからだろうか。