「芽依、帰るよ」


「うん!ごめん、咲良ちゃんまた明日!」



カバンをだるそうに肩にかけたコウくんがわたしを呼びに来て、咲良ちゃんに別れを告げた。


半同棲生活が始まったのをきっかけに一緒に登下校をするようになったわたしたち。


朝は学校が面倒くさいと行きたがらないコウくんを引きずり出すように家を出る。


昨日は咲良ちゃんと放課後遊びに行ったからバラバラだったけど、何も無い今日は早く家に帰りたいのかすぐに私を呼びに来た。



「芽依遅い」


「そんな家は遠ざからないから急がなくても……」


「俺は早く家に帰って寝たいの」



今日は特別寝不足なこともあって不機嫌かもしれない。



「もう、待ってよー」



さっさと靴を履いて生徒玄関から出ていくコウくんを慌てて追っかける。


置いていくくせにゆっくり歩いて待っていてくれる不器用な優しさはコウくんらしい。