ぜんぶ欲しくてたまらない。




「そうだよ、芽依が俺のこと蹴飛ばしたり殴ったりしてくるから」


「そんなことしてないよ!」



……?


わたしは比較的寝相はいい方だし、蹴飛ばしたり殴ったりした記憶は全くない。


全力で否定したけど、それよりも気になったのは何となくコウくんの顔が赤く見えたこと。


まさか、本当に殴っちゃってた?



「あの……もし寝ぼけてやってたらごめんね?」



わたしが覚えてないだけかもしれないし。



「……寝ぼけて言ったなら、もっとタチ悪い」



コウくんは何か呟いて洗面所へ行ってしまった。


コウくんのこと怒らせちゃったかな?


戻ってきたらもう1回ちゃんと謝っておこう。


実はわたし、今まで誰にも言われなかったけど寝相が悪かったのかも。


もう雷も鳴ってないし、今日はちゃんと自分の部屋で寝よう。


今日の天気は、昨日の夜の大雨と雷が嘘かのように、雲ひとつない青空。


朝の眩しい光が部屋の中に差し込んでいた。