ぜんぶ欲しくてたまらない。




「……コウくん?」



そんな小さなわたしのコウくんを呼ぶ声に返事はなく、届いていない。



「コウくんのバカっ」



目が慣れてきて見えたコウくんは、目をつぶって眠りについていた。


心を掻き乱されたわたしだけ置いてけぼり。



「大好きだよ、コウくん」



寝ているコウくんになら素直に伝えられるのに。


今だけは素直に甘えてもいいかな。


わたしを抱きしめるコウくんをギュッと抱きしめ返す。


朝になったらいつも通りの幼なじみに戻るから。


ちょっとだけわたしに夢を見させてください。


コウくんはすごいね。


あんなに雷に怯えていたのに、安心してしまうのはコウくんのおかげ。


未だに鳴り続ける雷の中、わたしはすうっと眠りについた。