ぜんぶ欲しくてたまらない。




「……おまたせ」



お風呂場から出ると、ドアの前でコウくんが待ってくれていた。



「待っててくれたの?」


「うん、芽依は怖がりだから震えてるんじゃないかと思って」


「もうわたし、高校生だよ?そんな子ども扱いしないで」


「それならいいけど」



うそ。

本当は真っ暗で怖かった。

コウくんが来てくれて安心した。



素直じゃないなぁ、わたしも。



コウくんが言うには酷い雨で落雷があり、そのせいでここら一帯停電になってしまっているらしい。


シーンとしているせいで、外の酷い雨音が大きく聞こえる。


それもまたわたしの恐怖心を掻き立てた。



「怖い?」


「ぜ、全然!」



さっきあんなことを言ってしまったせいで、強がるしかないわたし。


本当は今にも体が震えそうなのに。