「芽依、次いいよ」
「……っ、わ、わかったっ」
お風呂上がりのコウくんは見ることができない。
今日で半同棲生活3日目だけど、お風呂上がりは上半身裸のコウくんにまだ慣れられない。
当の本人は全く気にしていないようで、濡れた髪の毛をバスタオルでわしゃわしゃと拭きながら、ソファーに座った。
なんでもすぐに服を着るのは蒸れて嫌みたいで、しばらくの間裸のままでいるのはもうコウくんの中で日課になっているらしい。
昨日も服を着てほしいとお願いしたけれど、コウくんは嫌の一点張りで、わたしが折れるしかなかった。
「お風呂行ってくるね」
程よい筋肉がついた体に濡れた黒髪、シャンプーのいい匂い。
これ以上ここにいるとどうにかなりそうで、お風呂場へと逃げ込んだ。
咲良ちゃんと約束したばっかりだけど、純粋に半同棲生活を楽しめる余裕なんかないよ。
湯船に鼻まで浸かって、ブクブクと泡を作る。
お風呂から上がったらもう服を着ていますように。
そう願いながら、お風呂から上がろうとした時だった。



