ぜんぶ欲しくてたまらない。




「芽依、なんかタイマー鳴ってる」


「……はっ、パスタ!もうお湯から上げないと!」



逃げるようにコウくんから離れて火を止める。


助かった。


あのまま居たら、コウくんの甘い雰囲気に飲み込まれてしまいそうだったから。


コウくんはつまらなさそうにしてソファーへ戻って行った。


そのおかげでわたしのドキドキもなんとかおさまって、無事にボロネーゼが完成した。



「どう?」


「美味しい。お弁当も美味しかった」



コウくんの褒め言葉を今日も聞けた。


おまけにお弁当も。


朝早く起きて頑張ったかいがある。


調べたレシピ通りに作ったものだけど、コウくんに気に入ってもらえてよかったよ。


コウくんに続いて自分も一口、口へと運ぶ。



「ん!美味しいっ」



思わず自分でも口に出してしまうくらい美味しいボロネーゼだった。