ちょっと揺すって、ちょっと声をかけるくらいじゃ全然起きない。



「芽依も一緒に寝よ」


「わっ、ちょっと!」



男の子の力には全く勝てなくて……


コウくんに腕を引かれたわたしは、ベッドに引きずり込まれる。



「コウくん!」


「うるさいなぁ……芽依がギューってしてくれたら起きてあげる」


「へっ?」



な、何それ。


寝ぼけているのか、本当は起きているのか。


わからないけれど、眠そうに目をウトウトさせるコウくんは可愛いとさえ思ってしまう。



近くで見るとよくわかる。



さらさらの前髪の間から見える長く綺麗なまつ毛。

すらっと伸びる鼻筋。

綺麗な薄ピンク色の唇。


顔のパーツでさえもかっこいい。



───って、今はこんなこと考えてる場合じゃなくて。



「変なこと言ってないで起きてってば……っ!?」



おでこに一瞬だけ感じた柔らかい感触。