「芽依遅い」
「仕方ないよ、女の子は時間がかかるものなの」
リビングへ戻るとコウくんがソファーに座ってスマホをいじっていた。
何見てるんだろう……
コウくんはゲームとかやらなさそうだし。
わたしも寝るまでくつろごうとソファーの前にまわると、静かな部屋にシャッター音が響いた。
「今、もしかして写真撮った?」
「うん」
「何撮ったの?」
「んー、秘密」
「見せてくれてもいいじゃん」
「ダメ」
頑なに見せてくれないコウくん。
そうされると余計に気になってしまうのは仕方ないと思う。
「かーして」
「ちょっ……」
「……っ」
無理矢理コウくんのスマホ画面を見ようとしたわたしが悪かった。
バランスを崩してコウくんの上に覆い被さるわたし。
これじゃまるで、わたしがコウくんを襲っているみたい。