ぜんぶ欲しくてたまらない。




ドキドキを落ち着かせるためにコウくんのお家を出てきたのに、なぜか隣にはコウくんがいる。



「……買い物行くの嫌じゃないの?」


「うん、すっごく面倒くさい」



それならなんで一緒に来てるの?


コウくんの行動はつくづく不思議に思う。


言ってることとやってることが違うことがあるから。


相変わらずドキドキは治まりそうにないけど、こうして隣に並んで歩くのはやっぱり嬉しい。


一緒にお買い物に行くって"同棲"って感じがするし。


まるで新婚さんみたいな……?


うんんんんん!


こんな妄想を膨らませるから意識しちゃって落ち着かないんだよ。



コウくんとは仲のいい幼なじみ。

ただの幼なじみ。


……やっぱりそれは悲しいよ。



「ねぇ、さっきからニヤニヤしたり突然首振ったり落ち込んだり感情忙しすぎ。怖いんだけど?」


「へっ?」



わたし、そんなわかりやすく顔に出てたの?



「なんでもないから気にしないで!」



もっと気をつけなきゃ。


このままじゃコウくんに変人認定されてしまう。