「じゃあオムライス」
オムライスはわたしの得意料理。
たまにお母さんが仕事で遅くなる時にわたしが夕飯を作っていて、自分の好きなものを美味しく作りたいと何度も作っているうちに得意料理になっていた。
上手く作れたのが嬉しくて、コウくんに食べてもらったこともあったっけ。
それからコウくんのお気に入りになったオムライス。
「コウくん、わたしのオムライス好きだよね」
「うん、好きだよ」
「……っ」
違う。
コウくんが言ったのはオムライスのことで──決してわたしのことじゃ。
自分で振っておいて、自爆してしまう。
わたしに言っているわけじゃないのに、コウくんの口から発する"好き"は破壊力がすごすぎる。
「なんで固まってるの?」
「な、なんでもないっ!卵たくさん使うから買ってくるね!」
こんなことで動揺しちゃってどうするの、わたし。
この調子じゃ本当に1週間ももたないよ。



