「芽依だって突然入ってきたじゃん。もう忘れたの?」
「あ、あれは!事故っていうか、なんというか……」
コウくんの部屋だってわかってたら、ちゃんとノックだってしたもん。
さっきみたいに変なタイミングで入ってしまわないように。
「……っ」
思い出してしまって、体がぼうっと熱くなる。
恥ずかしくって、ドキドキしちゃって、コウくんの顔を見ることができない。
「顔赤いよ?」
「見ないでっ!」
誰のせいでこんなことに……
あれもこれも、かっこよすぎるコウくんのせいなんだから。
「あっ!お昼!コウくん、何食べたい?」
早くここから逃れたくて話を逸らす。
「昼?まだ早くない?」
「ほ、ほら、食材とかなかったら買いに行かなきゃ行けないし……」
まだ時間は午前の9時。
確かに朝ごはんをついさっき食べたばかりだし、お昼にしては時間が早すぎる。
わたしはドキドキを隠すために必死に話を誤魔化した。
コウくんは鋭く突っ込んでくるから困る。



