「芽依の部屋、そこだから」
コウくんが指さしたのは、ちょうどコウくんの部屋の向かい。
「う、うん…ありがと!荷物置いてくるね!」
恥ずかしくて、コウくんから逃げるようにして向かいの部屋へと飛び込んだ。
基本的に時期によって使わないものや、ストック品などを閉まっておく荷物部屋になっているらしいこのお部屋。
それなのにとても綺麗に整理整頓されていて、小さなテーブルと座椅子。
ふかふかで気持ちよさそうな布団が準備されていた。
コウくんのお母さん優しすぎる。
頼まれたとはいえ、居候のわたしにこんな過ごしやすそうな部屋を用意してくれるなんて。
てっきり寝るのはソファーの上かななんて思っていたし。
他にも部屋の中には、何もかかっていないハンガーラックが置いてあって、シワにしたくない制服もかけておくことができて助かった。
「ねぇ、何してんの?」
「わぁっ!……ちょっとノックかしてよ」
急にドアを開けられたらびっくりするじゃん。



