ぜんぶ欲しくてたまらない。




「び、びっくりした……」



コウくんが現れたのもそうだけど、まさか着替えの途中だったなんて。


コウくんの上半身は、程よく筋肉がついていてドキッとした。


見えたのは一瞬だったけど。


本当に本当に一瞬しか見てないけど!



……かっこよかった。




「どうしたの。芽依ってこの2年の間に人の着替えを覗く変態になったの?」


「コウくんっ!?」



心の整理がつかずコウくんの部屋の前で立ち尽くしていると、ドアが開いてコウくんが出てきた。


ちゃんと白いTシャツを着て。


上半身が隠れていることにホッとする。



「……って、別にコウくんの上半身なんかっ!」


「へぇー、俺の上半身見たんだ」


「なっ!き、着替えてるコウくんが悪い!」


「ノックもせずに部屋に入ろうとしてきたのは誰?」


「……」



元々悪いのはわたし。


コウくんに何も言い返せない。