ぜんぶ欲しくてたまらない。




ドアが静かに閉まり、家の中にはわたしとコウくんの2人きり。


テレビの音もしない静かな部屋に自分の鼓動だけが大きく響いて聞こえる。



「お、お邪魔しまーす……」



コウくんの家に入るのは2年ぶり。


可愛いものが好きなわたしのお母さんとは違い、コウくんのお母さんはシンプルなものが好きで、白と黒を基調とした部屋はスタイリッシュにまとまっている。


そんなお母さんに影響されたのか、コウくんもシンプルなものが好きで、部屋の家具も黒を基調としたものが多かった気がする。


確かコウくんのお母さんがトイレの横の部屋が空いてるから使ってと言っていた。


えっと、部屋は……



「……」


「……っ!ごめん!間違えた……」



目の前に飛び込んできたコウくんを見て、すぐにドアを閉める。


部屋の間取りがウチと逆なことを忘れていた。


わたしが開けてしまったのはコウくんのお部屋。


そういえばここは2年前もコウくんのお部屋だったっけ。