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「じゃあ芽依、行ってくるわね」
急に決まっていつ準備したのかわからない大きなキャリーバッグを持って玄関に立つお母さんとお父さん。
「うん、楽しんできてね」
「ちゃんと芽依にもたくさんお土産買ってきてあげるからな」
「うん、期待してる」
お母さんもお父さんも楽しそう。
わたしの記憶では、しばらく2人きりで旅行なんて行ってるところを見ていないから、久しぶりの旅行になるはず。
結婚してからもう20年くらいになるのに未だ仲良しな2人。
せっかく行くなら思う存分楽しんできて欲しい。
わたしは玄関先で浮かれる2人を見送った。
「さぁて、わたしも行きますか」
戸締りをしっかり確認してから、まとめておいた荷物を持って家を出た。



