ぜんぶ欲しくてたまらない。




「芽依、ストップ」


「……?」



わたしの顔を見たコウくんに動きを止められた。



「え、なにっ?」



何も言わずに手を伸ばしてくるコウくん。


その手はわたしの頬に添えられたかと思えば、親指で口元をスっと拭われた。


離された手の親指には生クリームがついている。



「それ……あっ!」


「ん、甘っ」



そのまま自分の口へ持っていき、ペロッと舐めた。



「口に生クリームつけるなんてまだまだお子様だね」


「悪口!?コウくん酷いっ!」



ふっと笑って酷いことを言う意地悪コウくんに、ドキドキしながらも対抗する。


怒っているんだとアピールして口を膨らませれば、コウくんが片手で挟んで潰される。



「はらしてっ」


「怒ってる芽依も変顔してる芽依も可愛いよ」


「……むぅ」



そんな可愛い連呼したって許してあげないんだからね。


わたしを甘く見ちゃダメだよ、コウくん。



「あ、そうだコレ。芽依にあげる」



そう言ってコウくんが取りだしたのは、雪の結晶模様がプリントされ、赤とゴールドのリボンで結ばれた白い袋。



「……これは?」


「芽依へのクリスマスプレゼント」