ぜんぶ欲しくてたまらない。




朝から仕込んで作ったチキンとサラダ、デコレーションを頑張ったケーキもテーブルの上に準備できている。


リビングの飾り付けもちょうど今終わったところ。



「もう来ていいよっと……送信!」



文字を打ち込んですぐに既読がついた。


コウくんへのメッセージですぐに既読がつくなんて珍しい。


そう驚いていると、またすぐにインターホンが鳴った。



「……うそ、まさかコウくん!?」



さすがに早すぎない?


急いで玄関へ向かってドアを開けるとやっぱりコウくんが立っていた。



「は、早いね?」


「うん、待ってた」



待ってたっていつから?


でも楽しみにしてくれてたってことだよね?


それはすごく嬉しい。



「どうぞ」


「ん、お邪魔します」



コウくんがウチに来るのは慣れたもの。


まるで我が家のように靴を脱いで上がっていくコウくん。



「芽依これ全部一人でやったの?」



今日の私の努力の賜物を見たコウくんが聞く。



「もちろん、頑張ったでしょ?」


「うん、頑張ったね。ありがとう」


「……っ」



微笑みながら頭ポンポンするなんて……反則じゃないですか、コウくん。


今日こそは自然体でいるって決めてたのに、初めからこんなにドキドキしてたらこの後どうなっちゃうの?