───無事に迎えた夏休み明けの始業式。



「もう、どうなることかと思ったけど本当におめでとーっ!」


「さ、咲良ちゃんっ、苦しいよ……!」



あのお祭りの後、電話で勝手に居なくなってしまった謝罪とコウくんと付き合うことになったことを伝えた。


すると咲良ちゃんは自分のことのように喜んでくれて、電話越しにすすり泣く声が聞こえた。


そして今日久しぶりに学校に来て祝福のハグを受けている。



「ずっと芽依ちゃんが倉敷くんのこと想ってるの知ってたから本当に嬉しいんだよぉー」


「あぁっ、また泣かないで!?」



すでに瞳をうるうるとさせている咲良ちゃんの背中を優しくさする。


まるで自分のことのように喜んでくれる咲良ちゃんはいい子すぎるよ。


そんなやり取りをわたしの席でしていると、隣の席の奥田くんが登校してきた。



「おはよ、芽依ちゃん」



奥田くんと会うのもまたお祭りの日ぶりのこと。


ありがとうというメッセージは送り、察したのであろう奥田くんからはおめでとうと返事が返ってきた。


いろんなことがあったあとだから、直接顔を合わせるのは緊張する。



「……奥田くん」


「そんなバツの悪そうな顔しないで?芽依ちゃんが幸せそうで俺は嬉しいんだから。よかったね、芽依ちゃん」



どこまで奥田くんは優しいんだろう。



「ごめんね、奥田くん。本当にありがとう」



その気持ちにわたしは答えることができないけれど、奥田くんに好きになってもらえてよかったと思うよ。



「それで"彼氏"とのその後はどうなの?」



歓喜のあまり涙目になっていた咲良ちゃんはどこへやら。


ニヤニヤと楽しそうに聞いてくる。



「そ、それは……」



お祭り後から夏休みが終わるまで、今まで通りといえばその通りなんだけど、"特別"になったコウくんにドキドキしっぱなしだった。