芽依の近くにいればいるほど近づきたくなる。
触れたくなる。
抱きしめたくなる。
キスしたくなる。
めちゃくちゃに愛したくなる。
やっとの思いで自分の理性を保つのに必死だった。
そんな時に再会したのが梨里愛だ。
俊介に頼まれて一度は断ったものの本気で困っていたらしく、渋々引き受けることにしたカフェのバイト。
俺は面倒くさがり屋なくせにお人好しな性格らしい。
そこで梨里愛に出会ってしまい、俺の生活はさらに狂わされてしまう。
「ねぇ、もしかして好きだった幼なじみってあの子?」
バイトで2人きりになった時にそう聞かれた。
「へぇーっ、可愛いねっ」
俺は肯定も否定もせず無視したのに、梨里愛は勝手な推測で話を進めていく。
「すごい純粋そうな子だよねー」
慣れた手つきでドリンクを作りながら、凝りもせず俺に話しかけてくる。
はぁ、とため息をついて梨里愛が完成させたドリンクをテーブルまで運ぼうとした時───
「航大くんのこと、あの子に話したらどう思うかなっ?」
「……おい」



