ぜんぶ欲しくてたまらない。




「どう?倉敷くんとお話できた?」


「うん、少しだけだけど……引っ越しで疲れてるみたいだし、また明日話してみるよ」


「そうだねっ!じゃあ帰ろっか……あっ、朝見つけたクレープ屋さん寄って帰ろうよ!」



あまりコウくんと話せなくて落ち込んでいるのは、きっと咲良ちゃんにはバレている。


でも、そんなことは一切口にしないでさりげなくわたしのことを慰めてくれる。


本当に優しすぎるよ、咲良ちゃんは。



帰り道、約束通り学校の近くにあったクレープ屋さんで一緒にクレープを買って、期待以上の美味しさに咲良ちゃんと盛り上がりながら下校した。



家の最寄り駅からは咲良ちゃんと別れてひとりぼっち。


ひとりになると考えてしまうのはコウくんのこと。


今歩いているこの道は、小・中学校の通学路でコウくんと一緒に帰った思い出がたくさん詰まってる。


全然お話できなかったけど、連絡先くらいは聞いておきたかったな。


コウくんとメッセージのやり取りをするのは、スマホを買ってもらってからずっと夢だったから。