「見てみてペンギン!可愛いーっ!……あ、ごめん、つい嬉しくなっちゃって」
大きなペンギンの水槽が見えたわたしは奥田くんを置いてグイグイと前へ進んでしまった。
奥田くんにも見てもらおうと振り返ると後ろに居ないことに気がついて、追いついた奥田くんに謝った。
そんな申し訳なさそうなわたしを見て、奥田くんはクスクスと笑う。
「芽依ちゃんが楽しそうで良かったよ。そういうところ可愛くて好きだよ」
「……っ!」
わたしが口に出せなかった言葉をさらりと口にしてしまう奥田くん。
すごいな、奥田くんくんは。
「もっと近くで見よう」
驚きと恥ずかしさとドキドキと……動けないでいるわたしを引っ張ってペンギンのいる目の前まで連れて来てくれた。
確かにペンギンは可愛い。
でも、もうそれどころじゃないよ。
奥田くんのせいで体が熱い。
ドキドキしすぎて心臓が口から飛び出しそう。
ペンギンに集中できないよ。
その後メインのイルカやアシカのショーを見たり、ふれあいコーナーへ行ったりしたけれど、ずっとドキドキしっぱなしだった。



