ぜんぶ欲しくてたまらない。




「わぁーっ!すごい!」



隣で盛り上がる咲良ちゃんとものすごいスピードでボールが動く試合に言葉が出ないわたし。


わたしたちの高校のバスケ部がこんな強豪校だったなんて知らなかった。


ついさっき、わたしたちのように試合を観戦していた人たちの話が聞こえてきて初めて知ったけれど、強豪校と言うだけあって各中学校のキャプテンが多く集まっているチームらしい。


それは強いチームになるに決まってる。


相手のチームも点数を入れて攻めたり、シュートを阻止したりと活躍しているけれど、点差は開くばかり。


奥田くんのチームはもう20点も勝っている。



「芽依ちゃん!奥田くん攻めてるよ!」



興奮気味にわたしを呼ぶ咲良ちゃん。



「うんっ」



緊張する。


"絶対シュート決めるから"


奥田くんはそう言っていた。



奥田くんがシュート決めるところ、わたしも見たい。



「頑張れ、奥田くん!」



たぶん、この日一番の大きな声を出したと思う。


その声とほぼ同時に放たれたボールは、吸い込まれるようにネットに入っていった。