ぜんぶ欲しくてたまらない。




「こ、コウくん……だよね?覚えて、るかな?」



名前をこうして呼ぶのも久しぶりだ。


緊張のせいで、上手く喋れない。


わたしが名前を呼ぶと、コウくんはこちらを向いた。



「あっ、芽依ちゃんじゃん!」



先にわたしに声をかけてくれたのは、コウくんじゃなくて須藤くんだった。



「須藤くんも久しぶりだね、同じクラスになるの」


「中1ぶりだなぁ。これからよろしくね、芽依ちゃん」


「うん、よろしくね」



なんだろう。

須藤くんとは中1の頃より近づけた気がする。


でも今はコウくん。



「コウくん、帰ってきたなら言って欲しかったのに。……コウくんが居なくなってからずっと寂しかったんだから」



好きな人と遠く離れることはとても辛かった。


また会えるのかどうかもわからないのが、もっと苦しかった。


こうして再会できたのは、奇跡みたいだ。